CONFERENCE

アジア・オセアニア国際アンチ・ドーピングセミナー2020

主催

2021年度国際アンチ・ドーピングセミナーは、2020年度に引き続きオンラインでGoVirtual!として、2022年1月18日~19日の2日間で開催、52ヵ国・地域から250名の参加登録があった。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会決定を契機に、日本国政府のレガシー事業「スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)」が開始され、世界のアンチ・ドーピング活動への貢献を通して、スポーツの価値を護り・育むためのレガシープロジェクト “PLAY TRUE 2020”のレガシー創出の軌跡や、生きたレガシー等について共有された。
アジア地域のWADA常任理事として、池田佳隆・文部科学副大臣兼内閣府副大臣より、主催者としてのオープニングメッセージが述べられた。WADA会長Witold Bańka氏の基調講演では、PLAY TRUE 2020の成果への感謝の意と共に、特に教育の重要性における今後につなげるべきレガシーが強調された。WADAディレクターやマネージャーらからは、グローバルなアンチ・ドーピング活動の最新の動向や、今後のクリーンスポーツ環境の整備のための重要なプログラムの方向性などについて共有がされた。
また、セミナーDay2には、スポーツ庁長官室伏広治氏とWADA教育委員会委員長Kadidiatou Tounkara氏によるアスリートパネルにおいて、教育のための国際基準(ISE)の基本原則である「検査の前に教育」、「派遣の前に教育」を確実に担保するために、アスリート自身がクリーンスポーツに対して主体的に関わっていく重要性が強調された。

後援:
・外務省
・独立行政法人日本スポーツ振興センター
・International Testing Agency (ITA)
・International Paralympic Committee (IPC)
・Institute of National Anti-Doping Organisations (iNADO)

DAY
01

東京2020を通したレガシー創出:PLAY TRUE 2020

池田佳隆・文部科学副大臣兼内閣府副大臣から、 東京2020大会の開催に対して尽力いただいた関係者への謝辞に始まり、東京大会とその後に向けたクリーンスポーツへの日本からの継続的なコミットメントや、世界のクリーンスポーツを護り・未来に向けて育むアンチ・ドーピング活動に対してメッセージが送られた。
WADA会長Witold Bańka氏からは、PLAY TRUE 2020, Sport for Tomorrow 通した、日本国政府およびJADAの取組に対する謝辞が述べられた。大会史上初めてオリンピック・パラリンピック競技大会のレガシー事業の主要な柱として位置付けられたことは、日本のクリーンスポーツへのコミットメントの表れであることが述べられた。そして、特にアジア・オセアニア地域のアスリートやサポートスタッフ等への教育推進、スポーツの価値が世界的に発信されたことに対して、今後の国際競技大会開催国に多大な良い影響を与えることになったことが強調された。
東京2020大会におけるクリーンでフェアなスポーツを創っていくレガシー創出の中心を担った「PLAY TRUE 2020」の総括がされた。活動当初からチームをリードしてきた教育部部長山本ややより、2013年の東京大会招致の時から、無数のスポーツの価値のメッセージを基に創り出された「SPORT & ART」に至るまでの8年間の軌跡と戦略、リアルチャンピオン教育パッケージPLAY TRUE リレーi-PLAY TRUE リレーや主なプロジェクト等を紹介すると共に、「生きたレガシー」が共有された
「東京2020クリーンスポーツパネル」として、東京2020大会期間中のドーピング検査体制の中核的なメンバーが一堂に会した。「史上初(Firsts)」として、①コロナ禍での大会開催、②Dried Blood Spot(DBS)実施、③オリンピック競技大会中のペーパレスシステム、④PLAY TRUE 2020も含む開催国アンチ・ドーピング機関との包括的な協力支援体制等、大会史上初の取組などに触れながら、それぞれの立場でクリーンな大会とするための体制等を振り返った。今後の総合国際競技大会を開催する際の学びを共有することで、より強固なクリーンスポーツコミュニティにつないでいくレガシーについて、幅広い内容でディスカッションをした。
そして、岡野雅人東京ラボ所長から、東京2020大会でのサテライトラボの運営や運用体制について、北京2022大会組織委員会でアンチ・ドーピングを担当するLing Ling氏から北京2022大会のアンチ・ドーピング体制の準備状況について説明が行われた。

WADA リリース >>
DAY
02

アスリートエンゲージメントとクリーンスポーツパートナーシップの推進

WADA事務総長Olivier Niggli氏 から、WADAの「アンチ・ドーピングを新しい世紀へ:5か年戦略(Five-Year Strategic Plan under the theme 'Leading Anti-Doping in a New Era')」に基づいた各種世界的な取組みの進捗状況が説明された。2022国際セミナー開催と時を同じくして公表された、アスリートや関係者らの意見を取り入れてリニューアルされたWADAコーポレートロゴとウェブサイトがお披露目された。
WADA Compliance, Rules and Standards副部長Kevin Haynes氏から、2022年3月から始まるCode Compliance Questionnaire (CCQ:世界規程に対する遵守状況を署名当事者に確認する質問票)の概要、前回実施のCCQからの主な変更点、今後の実施スケジュール等について詳細な情報が共有された。
スポーツ庁室伏広治長官とWADA教育委員会委員長Kadidiatou Tounkara氏によるアスリートパネルを実施した。PLAY TRUE2020を代表的な好事例として、クリーンスポーツコミュニティが率先してスポーツの価値を発信していく意義や、効果的なアスリートエンゲージメントの方策について意見が交わされた。ISEが施行されたことで、教育の重要性だけではなく、ISEの基本原則である「検査の前に教育」、「派遣の前に教育」を、アスリートも含む各ステークホールダーが役割を担っていくことで、それらの原則の担保の重要性が言及された。
WADA ADAMSプロダクトシニアマネージャーNdiate Chaya Ndiaye氏から、WADAのペーパーレスシステムであるDCO Centralの機能や、今後のDCO Central の方向性について紹介があった。WADA教育委員会の山本やや委員からは、社会科学研究(SSR)の目的、事例としてJADAにおける調査研究の実施状況、それら調査研究の結果を基に開発した「リアルチャンピオン教育パッケージ」の事例を紹介し、アジア・オセアニア地域におけるSSRの推進を奨励した。
"Clean Sport Partnerships" と称し、NADO-NADO/NADO-RADOパートナーシップの事例紹介を行い、パートナーシップの構築の重要性を強調した。中国・日本・韓国の3カ国NADO間の覚書 (MOU) 締結や今後の方向性、また2014年から3回目となる東南アジア地域アンチ・ドーピング機構(SEARADO)とのMOUに基づく継続的なパートナーシップの内容について、それぞれクロストークセッションを実施した。
GALLERY
REPORT

国際セミナー報告書
(英語版のみ)