アジア・オセアニア国際アンチ・ドーピングセミナー2020
主催
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、2020年国際アンチ・ドーピングセミナーを初めてGoVirtual!としてオンラインで、2020年12月1日~3日の3日間に開催。
2020国際セミナーには、52ヵ国・地域から165名が参加。2021年1月から施行される世界アンチ・ドーピング規程(2021Code)と国際基準の施行準備の最終確認と、より良いプログラムの構築を目標とした。田野瀬文部科学副大臣からのオープニングメッセージに続き、WADA会長Witold Bańka氏や副会長Yang Yang氏をはじめ、WADAディレクター、WADAアスリート委員長Ben Sandford氏、室伏スポーツ庁長官らから、最新のグローバルなアンチ・ドーピング活動の動向やクリーンスポーツ環境の整備において必須となる項目、具体的なアクションなどについて共有がされた。
後援:
・外務省
・独立行政法人日本スポーツ振興センター
・Institute of National Anti-Doping Organisations (iNADO)
協力:
・公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
01
2021Codeと各種国際基準の遵守に向けた最終確認


田野瀬文部科学副大臣から、世界のクリーンスポーツを護るアンチ・ドーピング活動に対して、そしてTokyo2020大会とその後に向けた日本のコミットメントについて冒頭メッセージがあった。
Witold Bańka WADA会長より、 2021Codeと各種国際基準の改定の目的、アスリートのクリーンスポーツ活動への参画と教育の重要性、そしてアジア・オセアニア地域などのアンチ・ドーピング・コミュニティの結束をさらに強固にしていく必要性が指摘されれた。
また、Olivier Niggli WADA事務総長は、コロナ禍においてもパブリックヘルスおよびアスリートの権利に配慮した上でアンチ・ドーピング活動が継続して実施されていること、WADAの「5か年戦略(Five-Year Strategic Plan under the theme ‘Leading Anti-Doping in a New Era’)」に基づいた様々な取り組み、 Intelligence and Investigations部門の独立性の担保、Code Implementation Support Program (CISP)による質の高い規程遵守のサポート、WADAガバナンスリフォームの進捗について説明があった。
それに続き、Julien Sieveking WADA Legal DirectorとRichard Young Code Drafting Teamが、2015Codeから2021Codeへの主な変更点や新しいコンセプトや用語についての詳細な解説をし、2021Code施行直前の最終確認を行った。
02
教育に関する国際基準(ISE)の効果的な導入



Amanda Hudson WADA Education Directorから、新規『教育に関する国際基準(ISE)』において要請される、“Education First”の原則を担保するために必要な年間教育計画の策定、Education Poolの設定、Educatorの育成、そして各種教育活動の評価手法について説明が行われた。
2021Codeの新概念 “Delegated Third Parties (委託された第三者)” に基づきIOCが設立し、45以上のIFから委託されているInternational Testing Agency (ITA)から、ITAのサービス全般や運営体制、教育活動分野の具体例をもとに、アジア・オセアニア地域のNADOとの連携の重要性を示唆。
2021Codeの新概念 “Delegated Third Parties (委託された第三者)” として、IOCが設立し、45以上のIFから委託されているInternational Testing Agency (ITA)より、ITAのサービス全般や運営体制、教育活動分野の具体例をもとに、アジア・オセアニア地域のNADOとの連携の重要性を示唆。
2021Code、ISEにおける新用語であり、パートナーシップ構築を通して教育のインパクトを最大化する具体的活動である “Event-Based Education(競技大会における教育)”推進のため、Badminton World Federation (BWF) とJADAとの2012年来の取組みをグッドプラクティスとして紹介し、活動の目的やNFを含めた連携のポイントなどを明示化した。
Codeや国際基準の各所に記載されている、アスリート自身のクリーンでフェアなスポーツに参加するための権利が、“Athletes’ Anti-Doping Rights Act (アンチ・ドーピングにおけるアスリートの権利宣言)”として、Ben Sandford WADAアスリート委員会委員長を中心に1つにまとめられ、2021Codeと共に発行している。
Sandford氏と共にYang Yang WADA副会長、室伏広治スポーツ庁長官が、オンラインパネルディスカッションにてその権利宣言発効の意義を強調した。スポーツインテグリティを護るために、意義のあるアスリートエンゲージメントの方策、アスリートの教育、アスリートがリーダーとしてスポーツの価値・未来を主体的に創るための育成方法などについて、幅広く意見を交換。「アスリートはアンチ・ドーピング活動に参画し、クリーンスポーツへの貢献をしたいと思っている。NADO/RADOコミュニティは、いつでもドアを開けて機会を最大化できると良い」と強調された。
03
2021Code遵守に向けたステップを確認



JADAとMOUを締結している東南アジア地域アンチ・ドーピング機関(SEARADO)と中央アジア地域アンチ・ドーピング機関(RADOCA)に所属する加盟国に対するJADAによる支援の取り組みなどについて、SEARADOとRADOCAの代表者がパネルディスカッションを実施。2021Code遵守に向けた準備状況等について国際セミナー参加者によるオンライン投票の結果を見つつ、SEARADOとRADOCA各加盟国の準備状況や課題を共有。JADAによる具体的な支援、その意義と将来的なパートナーシップの在り方等を議論した。
Tim Ricketts WADA Standards & Harmonization Directorから、アジア・オセアニア地域における国内アンチ・ドーピング規程への承認状況が共有され、検査、ドーピング調査、居場所情報、結果管理、TUE、教育等のアンチ・ドーピング活動の各分野での遵守必須項目が再確認された。今後予定されているCode Compliance Questionnaire (CCQ)に向けて、最低限のCode遵守のみならず、効果的で実効性・質の高いアンチ・ドーピング活動の立案・実行・モニタリング・評価体制の必要性が強調された。CCQと監査 (Audit) プロセス・内容の方向性が提示され、NADOにおける事前の準備が喚起された。
セミナー終了後には、「Japan Day! – Virtual Sport with Values」を実施。NADOでの実践に活きるアイディアの1つとしてVirtual Sport、オンライン運動会を開催。「スポーツをツールとした社会課題解決型学習」を実施し、コロナ禍でオンラインでの授業となったクラーク記念国際高等学校横浜キャンパス・グローバルスポーツ専攻 (SFTC会員) の生徒たちと共に、オンラインでの【価値を基盤とした教育】を参加者と実践した。