PLAY TRUE 2020

PLAY TRUE 2020

ジネイリ マルティネス Jineiry Martinez ドミニカ共和国 / バレーボール

© Keita Yasukawa

スポーツが私を強くした

バレーボールをするうえで私が一番心がけていることは、『怖がらない』ということ。
ミスを恐れず果敢にプレーする姿勢を保つために、私は、どんな状況下でも常に笑顔で、ポジティブな気持ちでプレーするよう心がけています。このことは、ユース代表チームのマネージャーを務めていた母から学んだ教訓です。 幼少時代はとても泣き虫で、バレーボールを始めた11歳の頃は、スポーツをすること自体を家族が心配してしまうくらいに痩せていた私でした。しかし、バレーボールを通して、精神的にも肉体的にも強くなることができました。

ある映画のなかで印象に残っているこんなフレーズがあります。
『走れないのなら歩け。歩けないのなら這っていけ。ただ、前に進むことだけはやめるな。』
バレーボールに限らずスポーツに勝敗はつきものです。1つの負けや失敗でいちいち下を向いていては前に進むことはできません。結果を恐れずベストを尽くすことを第一にして臨むこと。この姿勢をとても大事にしています。

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1997

家族の存在、スポーツのチカラ。

バレーボールを始めるきっかけは、1つ歳上の姉のプレーを見て、かっこいいと思ったことです。姉とはたまに喧嘩もしますが、良き友人であり、現在のナショナルチームでは良きチームメイトでもあります。共に一喜一憂できる存在が常に隣にいるというのは素晴らしいことで、感謝しています。

私が育った環境には、いつも様々なスポーツがありました。姉だけでなく、兄も野球(現在は国内リーグのバスケットボール選手)をしていましたし、一緒に暮らしてはいませんが、叔父の一人はバスケットボールの有名な選手でした。さらにはボクシング選手だった叔父もいます。そのような意味で、スポーツはいつでも身近な存在でした。
しかし、現在のようにスポーツと向き合うことについては、父と母の影響が特に強いように感じます。お父さん子として幼少期を過ごした私にとって、父の死はとても悲しい出来事でした。生前、父からは多くの助言をもらいましたし、父の応援は心の支えでした。『父のために』というのは、今の私がバレーボールを続けているモチベーションでもあります。また、母親であると同時にチームのマネージャーという存在でもあった母は、愛情いっぱいの厳しさで育ててくれました。正直、厳しい部分の方が大きいですが、ポジティブに前向きにプレーしたいという気持ちは、寛容さを持ち合わせた厳しい母から学んだことです。

忘れっぽく少々怠け癖のあった私は、家族の存在とスポーツのチカラに助けられ、規律を守ることを勉強し、責任感のある人間に成長することができました。

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© Atsushi Tomura/gettyimages

チームメイトとの友情。
国を代表する責任。

『友情』-これは私がチームスポーツにおいて一番大切だと信じていることです。
友情はチームのパフォーマンスにも影響します。友情で強く結ばれたチームで臨んだ大会で良い結果を残すことができたのに対し、結束力が弱かったある大会では、不本意な結果に終わってしまったという経験から思うことです。
ナショナルチームに入ってまだ間もないですが、チームメイトとは深い友情でつながっています。チームメイトからの言葉には素直に耳を傾け、必要だと思ったことは、最年少だからといって臆することなくはっきりと伝える。友情が築けているからこそ、できることです。
ジュニア、ユースチームを経て、現在のナショナルチーム。国を代表するということへの責任の大きさが、少しずつ大きくなっていることは感じています。ただ、プレッシャーは全く感じていません。何よりも純粋にバレーボールが好きだということ。これがバレーボール選手としての私自身の根幹であり、そこでプレッシャーを感じたり怯んだりする必要はありません。

FUTURE

ドミニカ共和国とバレーボールの未来

『ドミニカ共和国代表の一員として貢献し続ける』
これは、来年のリオ、そして2020年の東京オリンピックに向け、私自身がアスリートとしての自分に期待することです。そのためにも、大好きなバレーボールを楽しむという根幹からぶれることなくプレーを続け、良い結果をもたらすことができるよう努力したいと思っています。
また、今後、フィールドでのプレーだけでなく、大好きなドミニカ共和国とバレーボールの未来のために、私ができることを模索していきたいです。
例えば、バレーボールにもラフプレーが存在します。そういったことに対しては、将来的に新しいルール作りなども必要なのではと考えています。バレーボールが、アスリートにとってだけでなく観客にとっても楽しめるスポーツであり続けるために、よりクリーンなスポーツに発展してほしいと私は願っています。
さらに、ドミニカ共和国では、背が高くないとバレーボールができないという考え方が強く根付いています。私は190cmと身体的に恵まれていますが、体が小さくても素晴らしいプレーをするアスリートを世界でたくさん見てきました。なによりも楽しむことが一番であって、トップのアスリートになることやプロになることがスポーツの目的ではありません。ドミニカ共和国にもっともっとバレーボール仲間が増えることを望んでいます。
私はまだ17歳と若いので、こういった思いを行動に移す方法はまだわかりませんが、いつか将来、何らかの形でそういった責任を担えるような大人であり、アスリートとしても成長できたらと思います。

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© Keita Yasukawa

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© Keita Yasukawa

前に歩み続ける

他者を敬う気持ちを持つことは、私が人として深く心に留めていることです。
人に優しく接していれば自分も親切にしてもらえます。
自分が正しいことをしていれば、それは後々必ず良い結果となって自分に返ってくると信じています。
スポーツの場面では、仲間を信じて前向きにプレーをすることや、苦しい練習を怠らないこと。こういったことが自ずと良い結果を導いてくれる。そう信じています。 さらに、その自分の行動に責任を持つことの大切さやルールを守ることは、家族、そしてバレーボール、スポーツを通じて学びました。
責任ということに対する認識は、これまで時間の経過とともに変化してきました。今後さらに、アスリートとして、ドミニカ共和国の一人として変化していくと思います。 ただ私は、『怖がらず、常に笑顔でポジティブに』、このことを念頭に前に歩み続けるだけです。そうすることで私自身がさらに成長できると信じているから。

スポーツが私を強くした! PLAY TRUE2020

ジネイリ・マルチネス

生年月日
1997年12月3日生まれ
国籍
ドミニカ共和国
種目
バレーボール

2015年8月現在ナショナルチームで共に活躍する一つ上の姉、ブライエリンの影響を受け、11歳の頃バレーボールを始める。
「2012年U18北中米選手権」「2013年U18、U20世界選手権」「2014年U20北中米選手権」等のユース大会を経て、「2015年モントルーバレーマスターズ」ドイツ代表戦にてチーム最多の14得点を上げ、シニア代表デビューを華々しく飾った。 現在はユース代表の中心選手として活躍する一方、シニア代表においても、将来の成長と飛躍が期待されている。
2015年8月に日本で開催されたFIVBワールドカップバレーボールでは、チーム最年少として出場。ポジションはミドルブロッカー。